今年のGlobal Business Travel (GBT) Forecastによると、2018年は世界的にコーポレートトラベル業界にとって力強い年になると予測されています。経済状況は引き続き堅調で、ビジネスの成長と消費者の自信が出張の増加へとつながるため、見通しは明るいでしょう。
需要の増加は全ての地域で広範囲にわたり、昨年中国とインドが最も経済成長率が高い国のタイトルを競っていたことから、特にアジアで力強い増加になるでしょう。ユーロ圏でも思いのほか堅調だった2017年から引続き注目に値する需要が見込まれます。
ホテルの宿泊料金と航空運賃は共に上昇すると予想されますが、多くの地域では新しい供給の流入により価格の上昇が抑えられ、世界全体でわずかから穏やかな価格上昇となるでしょう。レンタカーについてもここ数年横ばいまたはマイナス成長でしたが、わずかに上昇するでしょう。
レポートにはどのようなトレンドが企業の飛行機、鉄道、ホテル、陸上交通機関のプログラムに影響するのか、また、世界のそれぞれの地域の状況をどのようにGBTが予測しているか書かれています。
こちらのリンクからフォームにご記入いただくとGBTレポート全体をダウンロードできます。
全体概要の日本語サマリーについては、以下をご覧ください。
トラベル業界全体
2018年のトラベル業界の見通しは明るく、引続き底堅い経済、ビジネスの成長と消費者の自信から、トラベルの需要増加が予測されています。需要の増加は全ての地域で広範囲にわたり、昨年中国とインドが最も経済成長率が高い国のタイトルを競っていたことから、特にアジアで力強い増加になるでしょう。ユーロ圏でも思いのほか堅調だった2017年から引続き注目に値する需要が見込まれます。ホテルの宿泊料金と航空運賃は共に上昇すると予想されますが、多くの地域では新しい供給の流入により価格の上昇が抑えられ、世界全体でわずかから穏やかな価格上昇となるでしょう。しかしながら、この楽観主義も原油価格や、セキュリティの脅威、保護主義政策、中国の経済のバランス調整、一部地域の政情不安など残る懸案事項により緩和されることが予測されます。航空業界全体
飛行機による旅行の需要は急速に拡大し、各地域で航空運賃の値上がりが予想されているものの、いくつかのルートでは過剰供給が見られることや、LCCの急速な拡大、歴史的に低い原油価格により価格の上昇は歯止めがかかるでしょう。緩やかな運賃上昇と附随的な手数料の拡大によって航空業界では822億ドルを記録した2017年の収益が継続的に拡大すると見込まれています。その他の2018年の主要なトレンドとしては主要キャリアがLCCとの価格競争に対抗するために価格の細分化を拡大することが見込まれることと、広がり続けるビジネスクラスとエコノミークラスの格差を埋める手法としてプレミアムエコノミーが広く採用されることがあげられます。北アメリカではアメリカの航空会社の国内線ネットワークへの注力が競争的な環境を生み出し、エコノミークラスの運賃の上昇を限定的なものにすると考えられています。国際線への企業需要が高まることでエコノミークラス以外の運賃が増加する一方、エコノミークラスの運賃は減少すると考えられます。ラテンアメリカでは規制緩和と堅調な経済活動に支えられて、地域の航空業界が活性化し、見通しが改善されると考えられています。また、全体的に穏やかな運賃上昇が見込まれています。ヨーロッパでは長距離路線で中東系航空会社からの圧力、短距離路線でLCCとの激しい競争など、精彩を欠いた経済パフォーマンスという形で航空業界には重大な向かい風が吹いています。アジア太平洋地域では、特に中国とインドで急速に成長する需要の勢いが供給の成長を上回り、ルートと運賃クラスによりますが、限定的な価格上昇が見込まれます。ホテル業界全体
ホテルの宿泊料金も、好景気による需要の増加に押されて、世界的にわずかまたは穏やかな上昇が見られます。統合によりマリオットやアコ―ホテルズなどの巨大企業の立場は強まりましたが、旅行者も巨大企業がより広くより多様化した地域をカバーしていることでその恩恵を享受するでしょう。2018年には附随料金の拡大、より厳しいキャンセルポリシー、直接予約への注力によりホテルは収益性を推進するでしょう。北アメリカでは、カナダでの宿泊料金の増加率が最大となり、回復経済と弱いドルが特にカナダの大都市においてアメリカからの旅行客を増やす要因となるでしょう。アメリカでは宿泊料金が引続き上昇しますが、急速に成長する供給を背景に需要が平坦化するため、ここ何年かと比べると上昇のペースはゆっくりとなります。ラテンアメリカでは、経済状況が改善しますが、国ごとに大きく状況は異なります。アルゼンチンやメキシコなどのいくつかの国では価格の上昇が予想されますが、地域の大多数では、比較的横ばいでしょう。ヨーロッパでは新しい在庫の不足が宿泊料金を下支えしながら、需要の拡大が2018年の料金の成長を上昇させる要因となるでしょう。これまでの年と同じく、政治的な不安定と安全面の懸念が中東とアフリカの需要に影響を与えますが、地域によって大きく異なります。エジプトと南アフリカは経済回復により宿泊料金の上昇が予想されますが、カタールの外交危機は、旅行者をアラブ首長国連邦などの別の目的地を選択させる要因になるでしょう。アジア地域では全体的に急速な経済成長と中流階級の急成長が宿泊料金上昇につながるでしょう。オーストラリアやニュージーランドの東側の州では、価格の上昇が特に大きく、既にピークシーズンには中国人の観光客の流入を受け止めていることから、供給の増加は限定的です。レンタカー業界全体
ここ何年も横ばいもしくはマイナス成長だったレンタカー価格は、車の在庫管理が改善し、オペレーションコストが価格に対して圧力をかけることから、アメリカとカナダではわずかながら上昇が予想されています。しかしながら、過当競争は今後も続くでしょう。大きな価格上昇が無い中で収益性を上げるために、レンタカー各社は再度附随的なサービスや価格に目を向けるでしょう。ラテンアメリカでは、経済回復に伴って旅行者の需要が成長することから、供給者が細かく分かれている状態にもかかわらず、わずかな価格上昇が予想されています。ヨーロッパでは経済状況の改善と旅行客の増加により全体的にレンタカーの需要増加が見込まれます。しかしながら、ライドシェアや公共の移動手段を使うなど若い旅行客が別の移動手段へのシフトしていることから、この傾向は緩和されるでしょう。ライドシェアは地上移動全体における生態系の中で大きな役割を果たすでしょう。Uberは他のどのライドシェア会社よりも大きなカバーエリアを保ちますが、巨大なライドシェアであっても、台湾やドイツで経営を断念したように、地元の競合会社や進化し続ける規制の変化によりますます攻撃を受けるでしょう。