出張は多様な文化を受け入れる機会です。しかし、目的地や出張中に利用しているサービス提供会社が出張者の多様性を受け入れることができない場合、その出張は困難なものとなるでしょう。これは、出張プログラムを実施する企業が熟慮して対処しなければならない現実です。
Booking.comの最近の調査によると、十分なサービスを受けていない旅行者の86%が、安全だと感じられる旅行先を見つけることを優先しています。これは、出張を計画する上で、安全性とインクルージョン(訳注:包括性)の取り組みがいかに不可欠であるかを浮き彫りにしています。
多様性、公平性、包括性(DEI)イニシアチブを優先して企業文化を向上させる企業にとって、出張プログラムが企業のDEI戦略に合致していることは極めて重要です。
企業が DEI の取り組みと出張プログラムを統合し、従業員が世界のどこに行くかに関係なく、より包括的な職場を構築し、公平性への取り組みを示す方法を検討しましょう。
多様な従業員が直面する独自の課題を認識し、対処する
多様性の考慮を必要とする従業員をサポートする出張プログラムを作成する際は、彼らが出張中に直面する障害(アクセシビリティ、安全性、差別など)を理解することから始まります。ここでは、多様な社員が遭遇する可能性のある課題の種類と、出張先で彼らをよりよくサポートする方法をご紹介します。
障害を抱える方のためのアクセシビリティの障壁のナビゲート
重大な障害を抱えている13億人の人々にとって、旅行には多くの障壁がつきものです。
世界保健機関(WHO)によると、障害のある人は、障害のない人に比べて15倍も高い割合で、利用できない、高価格といった交通障壁に直面しています。米国だけでも、航空会社は2023年に11,500台以上の車椅子やスクーターを誤って取り扱っています。これは、移動に車いすやスクーターを利用している人々にとって、大きなストレスと計画上の問題を引き起こす可能性があります。
車椅子で旅行する難しさ
車いすを使用しているアメリカン エキスプレス グローバル ビジネス トラベル(Amex GBT)の従業員が、旅行で直面する課題について語っています。
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企業は、アクセシビリティを優先する旅行サービス提供会社と提携することで、有意義な影響を与えることができます。これには、車椅子対応の座席や化粧室を提供する航空会社や、バリアフリーのシャワー以外にもアクセシブルな設備を充実させるホテルが含まれます。
Amex GBTは、目に見える障がいと目に見えない障がいの両方を持つ出張者をさらにサポートするため、「スペシャルアシスタンスを必要とする出張者」デスクを導入しました。高度な訓練を受けたトラベルカウンセラーの専門チームが、空港ターミナルでのエスコートの手配や、リフトを備えた地上交通機関の調整など、特別なニーズに対応します。
女性出張者の安全上の懸念への対応
多くの女性にとって、出張のための一人旅は安全面への不安が高まるものです。最近の調査によると、女性回答者の70%が一人旅先での安全に不安を感じており、これは前年の64%から急増しています。
地域によっては、女性が言葉や身体的な嫌がらせを受ける可能性も高まります。また、目的地で、女性の行動、服装、移動に厳しい社会規範や法的規制が課される場合もあります。例えば、中東の一部では、女性は特定の服装規定に従い、不要な注目や詮索を避けるために公共の場での態度を整える必要があるかもしれません。
女性がより快適に過ごせるように、24時間365日対応のフロントなど、強固なセキュリティ対策を提供している提携ホテルを探し、安全性の好みに応じて宿泊先を選べるようにしましょう。
出張中の宗教遵守をサポート
渡航先によっては、特定の宗教を信仰する出張者は、反発や差別など大きな障害に遭遇する可能性があります。
社会的な偏見に加え、信仰を守る上で現実的な障壁に直面することも多いでしょう。例えば、渡航先によっては、ハラルやコーシャの食事の選択肢や祈る場所を見つけるのが難しい場合があります。
さまざまな宗教を信仰する従業員を企業が支援する方法もあります。例えば、従業員が信仰を実践できるような宿泊施設を特定するための方法を提供したり、宗教的な行事を尊重する出張規程を採用したりすることができます。
LGBTQ+の出張者が直面する偏見と敵意の克服
LGBTQ+の出張者にとって、世界を旅することはしばしば、性的指向や性自認に結びついた嫌がらせや敵意の世界をナビゲートすることを意味します。
Booking.comによる最近の調査で、LGBTQ+の旅行者の59%が旅行中に差別を受けた経験があることが明らかになりました。さらに、回答者の43%が、旅行先がLGBTQ+の人々に協力的でないのを見て、過去1年以内に旅行をキャンセルしています。
LGBTQ+の従業員が安心して出張できるよう、包括性へのコミットメントで知られる旅行業者との提携を検討しましょう。これには、LGBTQ+コミュニティを積極的に保護し、歓迎するポリシーを持つ航空会社、ホテル、交通機関が含まれます。また、同性愛が違法とされている64カ国を、LGBTQ+の従業員にとってリスクが高い国として強調することを検討してもよいでしょう。
有色人種に対する配慮義務の優先
旅行先の文化的・社会的風土は、人種や民族的背景が現地の大多数と異なる旅行者の体験に大きな影響を与える可能性があります。そのため、偏見や疎外感にさらされる可能性があります。
TripAdvisorの調査によると、黒人旅行者の70%が、積極的に包括性を促進する旅行先を選ぶ傾向があることが明らかになりました。さらに、44%の黒人旅行者が、文化的・人種的多様性が旅行先の安全性を決定する上で最も重要な要素であると回答しています。
注意義務を出張プログラムに組み込むことで、企業は黒人出張者により安全で包括的な体験を提供することができます。これには、包括的なサービスを提供する旅行会社を優先的に選定することや、発生しうる事故に対処するためのリアルタイムのトラベルサポートを提供することなどが含まれます。
出張におけるダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括性)推進のベストプラクティス
ご紹介した例はほんの一部にすぎません。出張中に出張者が遭遇する可能性のある障壁は、貴社の従業員と同様に多様です。出張先でのあらゆる困難を防ぐことは不可能ですが、出張者が評価され、尊重され、帰属意識を持てるような出張プログラムを構築することは可能です。
ここでは、従業員の全体的な体験を向上させながら、包括性戦略を出張プログラムに組み込むための戦略をいくつかご紹介します。
DEIの視点から出張規程を評価する
出張プログラムに包括性の取り組みを組み込むには、現在の規程が多様な従業員にどのような影響を与えているかを徹底的に評価することから始めます。これには、不注意に代表的でないグループを排除したり、不利益を与えたりする可能性のあるずれや障壁を特定することが含まれます。
多くの出張規程が混乱を引き起こし、無意識の偏見による偏見を意図せず強化する可能性があるため、このような評価プロセスには困難を伴うことがあります。
Amex GBTは、企業が多様な人材に共感してもらえるような包括的な出張ガイドラインを作成できるよう、DEIの観点からポリシーを評価する70項目以上のアセスメントを作成しました。航空、鉄道、予約と承認プロセス、車と地上交通、カードと経費、ホテル、そしてセキュリティ、健康、福利厚生を含む注意義務のテーマに分かれています。
出張規程を作成するためのいくつかのヒント
ジェンダー多様性を促進するために、ジェンダー包括性のある言葉を使う。
規程が長くなる場合は、失読症などの神経変性疾患を持つ従業員を支援するために、重要なポイントをまとめたファクトシートを提供する。
障害者など、特定のグループのニーズに対応するセクションを簡単に見つけられるよう、明確な標識を付ける。
従業員エンゲージメントを通じて出張の障壁を理解する
従業員エンゲージメント評価(訳注:従業員の会社や仕事に対する熱意を測る調査)は、多様な出張者が出張中に直面する障壁や、既存の規程が彼らのニーズを満たさない可能性を明らかにするのに役立ちます。しかし、彼らの経験を真に理解するには、有意義な会話やフィードバックを通じて従業員と直接つながることが重要です。
異なる背景、民族、属性を持つ出張者と関わることで、これまで考えもしなかったような痛みや洞察が明らかになることがあります。
話を聞く出張者を特定するときは、人種や性別だけでなく、年齢、性的アイデンティティ、身体的ニーズ、神経多様性(訳注:脳や神経の多様性)、家族の状況も考慮して総合的な視点で考えましょう。これらすべての要素が、出張者の出張体験を形作り、出張者がプログラムに対して求めていることに影響を与えます。
その他、従業員リソースグループからの意見を求めることで、多様な出張者の固有のニーズや懸念に関する貴重な洞察が得られ、包括的かつ敬意のある規程を促進できます。
このようなプロセスを開始する前に、人事チームと連絡を取り、プライバシーガイドラインに準拠しながらこれらのデリケートなトピックをどのように取り上げるかを決定しましょう。
サプライチェーンに多様なサプライヤーを組み込む
多様なサプライヤーを統合することは、出張プログラムの DEI の取り組みに不可欠です。Amex GBTでは、「多様なサプライヤー」の定義として、従来は代表性が低かったり十分なサービスを受けられなかったりするグループに属する個人またはグループが少なくとも 51% 所有および運営する企業としています。
このようなサプライヤーは、多様な出張者が直面する固有の課題をよりよく理解し、サポートすることができます。特定の文化、宗教、またはアクセシビリティのニーズに応えるカスタマイズされたサービスを提供し、より快適な体験を生み出すことができます。
サプライヤー選考プロセス中に、サプライヤーにDEI 戦略と、顧客に安全で包括的な環境を提供するために何をしているかについての情報を共有してもらいましょう。また、より包括的な文化を創造するためにどのようなステップを踏んでいるかを理解するために、採用プロセスやトレーニングプログラムについて質問するのもよいでしょう。
サプライヤーの多様性は顧客への透明性と顧客との協力なしには機能しません。Amex GBTでは当社のDEI活動が顧客の出張プログラムに与える影響を示すことを可能にする堅牢なプロセスがあり、定期的に顧客にTier II レポート(訳注:サプライヤー報告書)を提供しています。
出張者や他のチームメンバーにトレーニングプログラムを提供する
企業の注意義務の一環として、出張中に起こり得る問題に備えることは非常に重要です。多くの企業は、従業員が訪問する目的地に関する重要な情報を提供する、国別の出張前説明会を提供しています。これらの説明会では通常、安全上の懸念、健康関連のリスク、現地の法律、文化的規範、エチケットのヒントなどが取り上げられ、従業員が新しい環境に慣れるのに役立ちます。
多様な従業員が直面する可能性のある特定のリスクなど、DEI に重点を置いた洞察を取り入れ、カスタマイズされたサポート資料を提供することで、これらの説明会の内容を強化できます。
出張管理者やその他の主要な関係者が、さまざまなグループが遭遇する可能性のある固有のリスクについてトレーニングを受け、多様なチームをより適切にサポートできるようにすることも同様に重要です。あらゆるレベルで包括的な意思決定を行うことで、従業員が評価され保護されていると感じられる企業文化が育まれます。
たとえば、女性は危険な地域での宿泊を避けるかもしれませんし、LGBTQ+ の従業員は同性愛を犯罪とする国への出張を断るかもしれません。彼らの決断は尊重され、理解されるべきであり、批判されるべきではありません。
より包括的な職場文化の構築を始める
DEI を出張プログラムに統合することは、職場の多様性を促進するための重要なステップです。言葉だけでなく行動を通じて、企業が包括的な職場環境の構築に真剣に取り組んでいることを従業員に示します。この取り組みにより、最終的には友好的で、ダイナミックな企業文化を育むことができます。
DEI の取り組みを始める準備はできていますか? ガイダンスが必要ですか? お手伝いいたします。ご連絡ください。一緒に、多様な従業員全員をサポートし、力を与える出張プログラムを作りましょう。
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